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日々だらだらと書き綴る日記です。
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可李乃あさみ
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女性
誕生日:
1984/02/23
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木陰に座って、とろとろと眠る。
今日も平和だ。
不吉な予言も、不穏な現実もここの所なりを潜めている。
ベルは、こうしてまどろんでいられる時間が好きだ。まどろんでいる間に見る夢はあいまいで、長く眠っているときのように悪夢にうなされる心配が無い。
そして、眠る、と言う行為はとても心地良い。
まどろむという事は、眠るという行為を堪能することだ。

まどろんでいる間は半分しか浮いていない意識が一瞬沈んで、とぎれる。
そしてもう一度半分だけ浮かんだ意識の中で考えるのは、自分自身が消えるときのことだ。
眠りのそこにある真っ暗闇。その中で感覚も無く記憶も無く己も無く。知覚できない感覚。だからこそ、こうして存在している間に消滅ということを考えるのだろう。
「死」という感覚と同じように。

キトは、自分の――ベルの存在を否定してくれるだろうか。
何人目のマスターの頃からかは分からない。周りの使いたちが消えるたび、マスターが変わるたびに考えることだった。

自分が消えたら、とまた似たようなところに思考が戻ってくる。
自分の存在は空気中に散らばって、散らばったかけらは、今いる精霊の誰かが食らうのだろうか、それとも、新しい精霊の一部になるのだろうか。
もしかしたら、その両方だろうか。
ベルは古く、そして、強い精霊だ。あまりに多くベルのかけらを取りこんだ精霊がいたら、その精霊を変質させて、「ベル」に変えてしまうかもしれない。
では、その「ベル」は今ここにいる自分と同じものなのだろうか違うものなのだろうか。

だんだんと思考がそれて、おかしなほうへと向かう。思考を戻そうとすると、意識が完全に浮き上がり、目が覚めた。
水気を含んだ風が吹いていた。いつの間にか辺りは冷え込んで、雨の匂いがした。
もうすぐ雨が降る。
ベルは立ち上がると、雨を知らせに神殿へと駆けていった。
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