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日々だらだらと書き綴る日記です。
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可李乃あさみ
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40
性別:
女性
誕生日:
1984/02/23
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意味を成さない言葉ばかりが、間断なく繭の中に届いて響く。
力のさほどない精霊の繭は表層に近くてたくさんの声が届くのだが、この繭に眠る精霊の特殊さ故か、言葉が意味のない音になってしまっている。
「――――――んて、――くて――な――だ。―――――て―――やだ」
その中で、意味をなす声がただひとつ、届いた。
音の奔流の中で目を閉じていた精霊が、ぱち、と目を開く。
「聞こえた?」
「聞こえた」
暗闇の中で、ただ、片割れの顔だけが浮かびあがるように、見える。
きっと今、そろって同じ表情をしている。少し迷っているようなでも待ちわびたものが来たような、そんな顔。
「どうしようか」
「どうしようか」
くすくす、とやっぱり鏡のように同じ表情で、笑う。
声が少し遠い。けれども、これを逃すと、今度はいつ呼んでもらえるか分からない。
眠る前につないだ手を放さないまま、繭の中で立ち上がった。
「行く?」
「行こう」


使いを呼び出すための術式を組み立てるもの、もう10回目だ。
トツキは、焦り始めていた。十数年ぶりといわれる戦いで使いを失って、すでに一月近く。
同じく先日の戦いで使いを失ったほとんどが、すでに新しい使いをよび出せている。これで焦らない方が、間違いだ。
(早く、早く―――)
使いを失ったまま呼び出せない魔法騎士なんて、みっともなくて情けなくて嫌だ。笑いものになるなんて、ごめんだ。歯を食いしばり、きっ、と前をにらみつける。正確には、先ほど術式を組み上げた召喚用の魔方陣を。そして、術式をもう一度組みなおそうと魔法陣に一歩近づいたとき、光と煙が魔方陣からあふれ出て、人の形を形作った。
そうだった、とトツキは思う。初めて使いを下したときもこんなだったと何となく思い出した。
「呼んだ」「呼ばれた」
少女らしい透明な、柔らかい声だった。
「聞こえた」「小さな声」
「遠い声」「願い」
「なんて醜いの」「でも人として当然の感情」
くすくすくすくす
違う声が交互に聞こえるようにも、ずっと同じ声が聞こえているような気もする。
目の前に立つのは手をつないだ二人の精霊。注意して聞いていても違いが分からないほど、2人の声は、良く、似ていた。声だけではない。容姿も、仕草も、表情の動きさえ、まるで鏡合わせのようにずれがない。
それでも、見分けるのは簡単そうだった。髪の色と、目の色が違う。
「私はクチハ」金の髪と、茶の目の少女が名乗る。
「私はクレハ」黒の髪と、青の目の少女が名乗る。
そう、色違いの双子、と呼びたくなるような2人だった。

******
時間軸としては契約者5題の後。契約者5題の世界は、私割と書くの好きなのです。
またいつまで、どこまで書けるか分からない代物をー…。何せオチが決まってないので。オチが決まってたら何とかなるのですけれども。
ヨモを成長させるために投稿って地点でなんか駄目なのだけれども。
でも、できる限り最後まで書きたいです。
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