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日々だらだらと書き綴る日記です。
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可李乃あさみ
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女性
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1984/02/23
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声、がする。
呼ばれて、いる。
ボクに、よく届く声だ。
次のマスターに申し分ない。
繭の中は心地いいけど、ちょうど退屈してきていた所だ。
またほんの少しの時間、遊んでもらうことにしよう。

また、失敗した。
魔方陣からは、煙だけが上がっている。
魔法騎士になるなら、精霊の1人ぐらい使いに下せなくては。
いつもそういわれて、何度も挑戦するのだが、なかなか成功しない。
「やれやれ」
その場にどっかりと腰を下ろす。疲れた。
「何でうまくいかないのかね」
「せっかち、だね。あなた」
すぐ後ろから声がして、ぎょっとする。
気配がしなかった。
「これまで、陣を消すのが早かったんだよ。それじゃあ、寝てるボクらに声が届かない」
声はまだ幼い少年のもののようだった。
おそるおそる振り返ると、真っ黒な瞳が、すぐ目の前にあった。
背中にたれた髪はきれいな青緑をしていて、見た目の割には、声が低いような気もするが、それ以外は、なんら人間の子供と変わりない。
子供、というか、少女だ。12,3という所だろうか。
「陣が閉じ始めていたから、別のルートを使わせてもらったよ。ああ、自己紹介をしなくてはね。ボクは、ぺティ・ベル。ベル、って呼んで」
ベルが、右手を差し出した。その上に、手を重ねる。
「ペティ・ベル、汝が名において」
ぱん、とベルが手を叩いた。
「だめだよ。契約がまだだし。握手が先。それとも、ボクみたいな子供と契約はできないって、追い返そうとしたの?どっちにしても、名前ぐらい教えてよ。一方的なのは、嫌だな、ボク」
「いや…すまない。追い返すつもりはないんだが、つい、気が急いてしまって。俺は、キト」
「変わった名前だね。で、キト?契約の証として、ボクに何を差し出せる?」
「俺が差し出せるのは、俺の命ぐらいだよ」
その言葉にベルがかすかに笑う。
「馬鹿だなあ。命を差し出そうなんて、なかなかいないよ。悪魔と違って、ボク達の代償はそんなに高くないよ。そうだね…。あなたのしてる指輪1つくらいでちょうどいいくらいかな」
ベルの一言で、キトの顔色がさっと変わった。
「いや、これは、大事なもので」
「それを頂戴とは言わないから。それ位の価値のものって事だよ。ああ、主観的な価値だよ。本当は、代償はなくても良いんだけど。強い精霊が使いに下るんだから少しくらい払ってよ」
ベルが手を差し出す。キトがその手を握った。
「我、ペティ・ベル。汝、キト。我が名において、契約を結ぶ」
目線で、ベルが、キトに合図を送る。キトは一瞬戸惑ってから、口を開いた。
「汝、ペティ・ベル。汝が名において、我が願いをかなえたまへ」
変化は、なかった。ベルが顔をしかめる。
「契約は成立だね。…かなり願いが強い。痛いよ」
ベルが、手の甲を見せた。
そこには古代文字の形の傷が浮かびつつあった。
「とりあえず。何を叶えて欲しいのか、教えてよ。マスター」

空詩[カラウタ]からお借りしてます
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