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日々だらだらと書き綴る日記です。
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可李乃あさみ
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40
性別:
女性
誕生日:
1984/02/23
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「やあ、キト。体の調子はどう?」
声は、頭の上から聞こえた。
振り仰ぐと、屋根の上からひょっこりと、ベルが顔を出していた。
3週間ぶりに、ベルを見た。
『キトに使われるのは疲れるし、ボクはストライキさせてもらうよ』そういって、いきなり姿を消したのがちょうど3週間前だった。
確かに、キトも、体を壊し始めた頃だったし、使いが下せたのが嬉しくて、ヒナがとめるのも聞かずに、無理をしすぎたかもしれない。
ここ数日、体が軽く感じるようになって、ようやくそう思うようになってはいた。が、いきなり使いに消えられて、頭にきていたのも確かだ。
そして、キトは、感情が先にたつタイプの人間である。
「ベル、降りて来い」
思わず、叫ぶ。周りが、何事か、と振り返った。
ベルが、それを見て笑う。
「叫ばなくても聞こえるよ。中庭で、待ってる」
そういい残して、ベルは顔を引っ込めた。

キトが中庭にいくと、ベルは噴水のふちに座って足をぷらぷらとゆらしながら待っていた。
「キトが怒ってるのは知ってるよ」
キトが口を開こうとするのをさえぎって、ベルが言った。
「でも、あのままだと、あなた死んでただろうし、ボクがずっとそばにいたら、邪魔だろうし、だから、本心から呼ばれないと出てこないことにしたんだ」
ベルが、首に下げた、ネックレスを触る。
「俺は、ベルが邪魔だとは、思ってない」
「キトは、女心が分かってないね。ボク、ちゃんと分かってるよ。あなたの本当の願い」
「契約のときに、ヒナを守るのが俺の願いだといったじゃないか」
ベルが、嘘を許さない目で、まっすぐにキトを見上げた。
「違うよ。キトは、ヒナが欲しいんだ」
「……!!」
それは、図星だった。しかし。
「禁忌だ。巫女に、恋するなんて。俺は、騎士で、ヒナを、守らなければいけないのに」
「キト、望むなら、力を貸すよ。ヒナを、奪ってあげようか?」
ベルは、相変わらず、まっすぐに、キトを見ている。
その瞳に、神に背くことさえも許すような、慈悲の色が浮かんでいるのを見て取って、逆にキトは冷静になった。
「ベル、お前、悪魔か?」
「いいや、主に忠実なだけの、使いだよ」
ベルがうそぶく。
「まあ、その話は、おいおいしていくけど」
まだするつもりか、とキトはうんざりする。さっきまでのやり取りだって忘れたいくらいなのに。
「もうしなくていい」
「うるさいな。大事な話だよ?本当の願いって」
「俺は、その願いをいつか捨てたい」
「ああ、そう」
ベルが、さらりと聞き流す。
聞く気がない、というより、もう興味すら持っていないような顔だ。
「ベル、お前さっき、俺が本心から呼ばないと出てこないことにした、とか言わなかったか?」
「言ったよ。ボクを呼んだよね?力が欲しくて」
「それはもういい。どこかに行ってしまえ」
あまりにベルが癪に障ることを言うのでキトは、試しにそう言ってみる。
「それは、本心じゃないよね。キトの言葉は、ほとんどが本心じゃないよ」
ベルからは、そうかえってきた。完璧に見透かされている。
力が欲しかったのは、本当だ。
未来を見る魔法騎士たちが危機を告げてきた。
ヒナを守るには、キトだけの力では足りないと、分かっている。
「ベル、俺が力を貸して欲しいといったら、お前は、力を貸してくれるか?」
「貸すよ。キトが力を欲しいのは本当だから。またボクは、しばらく出っ放しだね。でも、本当に必要なときしか、力は使わないから、練習相手にはならないよ」
「それでもいい、力を貸してくれ」
ベルが、にこりと笑う。
「うん、ちゃんと貸すよ。願いをかなえるものでいたいからね」
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