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日々だらだらと書き綴る日記です。
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可李乃あさみ
年齢:
40
性別:
女性
誕生日:
1984/02/23
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キトはベルを探す。
寝ていると思っていたら、いつの間にか消えていたのだと、ヒナに涙交じりに言われてしまったら、探すしかない。
ヒナは、ここ1週間ベルと隣同士のベットで寝ていた。
そして、ベルの見る夢を一緒に見ていたのだ。
そのうちに、親近感が沸いたらしい。
ベルを、心配していた。

ベルのいそうな場所が分からない。
建物の中をすべて見てから、休憩に、とキトは中庭に入る。
「やあ」
中庭に入った途端、かけられた声に、キトは足を止めた。
噴水のヘリに腰掛けて、ベルがキトに手を振っている。
その姿に、力が抜ける。が、すぐに気を取り直して、ベルに詰め寄った。
ベルは、けろりとした顔をして、キトを見上げる。
「暗い顔してる。まだ、体の調子が戻らない?」
キトが何か言う前にベルがからかうように言った。
昨日まで、全然起きなかったとはとても思えないほど、ベルは普通だ。
「俺は、お前を探してたんだぞ、ベル。あの後倒れて、全然起きないし、いつの間にかいなくなってて、俺も、心配、した」
「ああ、1週間ぐらい寝てたみたいだね。でも、ボクら、マスターがいないときはずっと寝てるよ。キトに呼ばれる前だって30年ぐらい寝てたし」
勇気をしぼって言った最後の一言をあっさりと流される。
誤魔化すように、キトは1つ咳払いした。
「俺は、あの後、魔法騎士に任命された。使いで残ってたのは、お前を含めて6人だけだったそうだ。人間の方はたいした被害はなかった」
キトが、ベルの頭をくしゃり、と撫ぜる。
きゅ、とベルの眉間にしわがよる。
「あ、ヒナ」
「えっ」
キトの手が、ベルから離れる。そして、ベルの指差した方に、振り返る。
ヒナどころか、誰もいない。
「ベル、だましたな」
「これでもキトの何倍も生きてるんだよ。頭なんかなでないでよ。……キト、もう一人、使い欲しくない?」
「ん?」
いきなり変わった話題に、キトが素直についてくる。
「ボクらは、召喚されるときに、声が聞こえるんだ」
精霊たちにとって、召喚される、ということはそのまま、呼ばれる、ということである。
願いが強いほど大きく、相性がいいほどはっきりと、呼ぶ声が聞こえる。
その声に応えることが召喚されるということなのだ。
「今も少し聞こえるけど、寝てる間もずっと聞こえてた、ほとんど意味のない言葉だけど。でも使いを失った魔法騎士たちがずっとああやって呼んでるから、ほとんどの精霊は起きてるはずだよ。今だったら、もう一人呼び出せる」
「いや、俺は、いいよ」
考えるそぶりも見せず、キトが答える。
「ベルみたいなのが、もう1人いるのもな。それにベルは、他の精霊より、強いし、長く生きているだろう?」
「そんなにボクは手に余るかな?…長く生きてるって言っても、ボクはまだ1000年も生きてないよ」
ひょい、とベルは噴水から降りた。後ろで手を組んで、背筋を伸ばす。
横に並ぶと、キトの胸に少し足りないくらいの身長しかない。
「さて、ボクはそろそろ引っ込むよ。今回の件はひと段落着いたからね」
「ベル、ちょっと待った」
「うん?何か、願い事?頼みごと?命令?」
「いや、その」
キトが言いよどむ。
「何なりと?ご命令を、マスター」
茶化すように、しかし表情は真剣にベルがそう促した。
「あっと、その、ずっと出てろ。ベル」
「キト?僕が出てたって、良い事なんてないよ。キトの嫌なことはいうし、あなたたちの邪魔をするだろうし」
ベルがネックレスに触れる。
「ヒナ様は、ベルのことを気に入ってるみたいだった。ベルが言うのは真実だ。それに、ベルが引っ込むって言って行く先には誰もいないんじゃないのか?」
ベルが、きょとん、とする。
「うん、いない、けど、そんな話、したっけ?」
「いや、ヒナ様が、ベルの夢が流れてきて、寂しい夢だった、と」
「そう、ばれたか」
かり、と耳の後ろをベルが引っかく。
キトは、ベルがヒナについて何も言わないのにほっとしていた。
「ペティ・ベルに命ずる」
「はい、マスター」
「俺たちが望むうちは、俺たちのそばにいろ」
「分かりました」
ベルが、くすり、と笑う。
今のは、自分でやっていて、なんだか滑稽だった。
「じゃ、ヒナが心配してるから戻るか」
「ん」
しばらく、3人で家族もどきごっこをするのもきっと楽しい。

…いつか、望まれなくなる日が来るまで。
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