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日々だらだらと書き綴る日記です。
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可李乃あさみ
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女性
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1984/02/23
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ヒナが、神託を受けて巫女になったのは、まだ10にもならないくらいの時だった。
キトは、その頃のお隣さんで、小さいときからよく遊んだ、幼馴染でもある。
そのキトが、ようやく使いを持ったと聞いたときから、会ったらお祝いを言わなければ、と思っていた。
しかし、それから1ヶ月、ヒナは1度もキトに会えずじまいだ。
どうしようかしら、とヒナは思う。
たいした事を言うわけじゃないのに、探し回るのもなんだか変だ。
どうしたらいいのか分からなくなって、ヒナは一つため息をついた。

「やあ、こんにちは?」
少年のような声に顔を上げると、目の前に、キトがいる。
その隣で青緑の髪の少女がまっすぐにヒナを見上げていた。
はじめに口を開いたのは、キトだった。
「何をしておられるのです?」
「いえ、その…か、考え事を」
「供もつけずにあまり出歩かないでください。神官たちが大騒ぎします」
困ったようなキトの声に、ヒナは反論しようとする。
「なるほど?キトの願いはその人か」
しかしその前に、少女が少年の声で横槍を入れた。
「ベ、ベルっ」
「確かに、可愛い人だ。しかし、キフォ?」
キトが、ベルの口を塞いだ。
「失礼いたしました」
「いえ、あの、その子は?」
「ああ、これは…」
「ペティ・ベル。心配しなくても、ボクとキトは、契約関係だよ。ボクは彼の使いだからね」
「ベル」
キトが、押さえた声音でベルを叱りつける。
ヒナはそれをぽかんとして見ているしかなかった。
ふと、沈黙がおり、キトが何か言おうとして咳き込んだ。
ヒナは慌ててキトに駆け寄る。
「大丈夫?」
「大丈夫です。ヒナ様」
「あなた、ヒナって言うのか。キトに言ってよ。無理するな、って」
ベルが、自分の首に下げたネックレスを弄りながら言う。
ヒナには、そのネックレスは見覚えがあった。
確か、キトが神殿に入る前に、キトの母親が、キトに贈った物だったはずだ。
ベルが、言葉を重ねる。
「ここ1ヶ月、呪文を覚えようとして、ボクに力を使わせすぎてるんだ。僕の力はマスターの力を吸い取って練り直してるものだから、あんまり僕に力を使わせてると、キト、死ぬよ?」
「キト、それ、本当?」
ヒューとキトの喉がなる。何度か息を整えてその音を抑えた。
「……おそらく」
ヒナが、ベルをにらんだ。
「ボクがキトから貰った代償は、これだけだよ。命なんて。いらない」
弄っていたペンダントをヒナに見せてキトが言う。
「俺は、どんな代償でも払うって言ってるのに」
「もう、払われてるよ。ヒナが言えば、多分、キトも聞くはずだよ」
ベルが、ヒナの視線をまっすぐ受け止めて言う。
こんな子供に呼び捨てにされるのも、こんな子供が1ヶ月ほどキトを独り占めしていたのも、気に入らない。
ヒナとしては、ベルを祓ってしまいたいぐらいだが、キトがやっと呼び出せた使いなのだ。そうもいかない。
ヒナはもう1度ため息をついた。
少しずつこれから話を聞いていこう。他に払われた代償がないかを確かめるために。
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