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日々だらだらと書き綴る日記です。
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可李乃あさみ
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40
性別:
女性
誕生日:
1984/02/23
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杖の先に、重い手ごたえ。
ベルが杖をめり込ませた「かげ」がぼろぼろと崩れて消えた。
(次は――)
杖を構えて、油断なく周りを見渡した。
「かげ」は、あと10いるかいないかというところ、味方で立ってるのは3人。
しかし、もともと5人程度しかいなかったのだ、割合としては、こちらが有利だろう。
(あと、少し)
ベルが次の攻撃をしようと1歩踏み込む。
が、いきなり、全身をつかまれて引っ張られるような感覚がベルを襲う。
(…っ、この。戦闘中に、呼ぶな、ばかっ)
心の中で文句をつける間に、ベルは神殿の奥の封印を施した1室の扉の前に、呼び出されていた。

「キト!」
「文句なら聞こえた。だが、こっちもまずいんだ」
キトの言葉を聞きながら、ぶん、と、ベルが杖を振る。
襲い掛かろうとした「かげ」が、ベルの攻撃をもろに食らって消えた。
「こいつら、剣じゃ斬れない」
キトが、吐き捨てるように言う。
「斬れる。斬れると思えば、斬れるはずだよ。『かげ』はボクら精霊と同じものだ。人の思いでできてる」
「でも」
そういって、しりごみするのは若い騎士。
「ああ、もう『剣は力、力はかげに有効。剣はかげに有効』」
ベルが、指の皮を噛み切って、床に血を落とす。
そこから発光して、部屋を満たし、やがて消えた。
キトが、剣を振るう。
「かげ」が崩れて消えていく。
しかし、ベルが杖で殴った時とは違い、ぼとりと、床に黒い塊を落とした。
ベルが、それに杖で触れて消す。
剣で切れるようになった「かげ」に、騎士たちは勇んでむかっていく。
ベルに、周りを見る余裕ができた。
「…ちょっと待って。ここに配置された使いも魔法騎士も少なくないはずなのに、何でここに使いがボクしかいないの?」
「全部あれに取り込まれた」
ベルの疑問に答えたのは、キトではなかった。
魔法騎士であろう格好をした男がベルの横に立つ。
キトは、前線に出て、ベルとは離れてしまっている。
「どれだけ弱い精霊下してるの。あれに取り込まれるなんて、よほど若いか弱いかだよ」
言う間にベルは杖を一閃する「かげ」がなぎ倒されて、消えた。
そこに、剣で斬られた「かげ」の残りかすが飛んでくる。
ベルはわずかに体をずらしてそれをよけ、杖を向けようとして顔を向けると、無造作に魔法騎士の男がそれに触ろうとしていた。
「待て。それに触るな……ああ、もう。あなた魔法騎士だろう!」
男が、儀式用の短剣を出して、ベルに切りかかった。
ほほをかすれて、ベルの顔に傷が付く。
「こっ…の」
ベルが、渾身の力で、杖で男を殴り倒した。
かなりの距離を飛ばした挙句、封印された扉に思い切り叩きつけてしまったが、ベルは気にしない。
女の顔に、傷をつけるのが悪いのだ。
気が付くと、「かげ」はすべて姿を消していた。
「キト、他に、残りかすに触れた人は?」
「いや、いない。気持ち悪くて、触ろうという気にもならなかった」
「そう、それが普通なんだろうな」
ベルが、杖で残りかすを消しながら歩く。
見える範囲はすべて消して、それから床に杖を立てた。
両手で柄を握る。
「『かげ』は、全部消えてるよ。ついでに、結構な数の使いが消えてる。取り込まれたら使いはどうしようもないし。…人間の方の被害は、ボクには分からない。人数は、減ってないみたいだけど」
「そうか、ベル。おつかれさま」
キトが、ベルの顔に手を伸ばした。
ぐい、とベルは自分のほほの傷をぬぐう。
「もう治ってるよ。キト、それよりも、その部屋の封印を外してあげるのが先」
「そうだな」
ベルが、杖を持った手を強く握り、そして緩めた。杖が、消える。
それを見ながら、キトは入口に貼った札をぺリリとはがした。
「ヒナが待ってるんだからさ。そういうことは、キトが最初に思いつかないと。あー…疲れた」
誰もいないところならともかく、ここでそれを言うのか、とベルに文句を言おうとキトが振り返る。
糸の切れたあやつり人形のように、ベルが、床に倒れる所だった。
そして、倒れたまま、ぴくりとも動かない。
「おい、ベル」
ベルを抱き起こそうとすると、キト自身の視界もぐらりと揺れた。
(そうか、ベルがかなり力を使ったから)
体の力が抜けて、キトはベルの頭を支えたまま、その場から動けなくなってしまった。


*最後のお題書く前に手直しするかも…しないかも
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