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日々だらだらと書き綴る日記です。
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可李乃あさみ
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40
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女性
誕生日:
1984/02/23
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階段を下りて行くクチハとクレハを見送って、ベルは、メモリアのほうに向き直る。
「メモリア、語って。巫女…否、魔女の話」
余計な前置きはせず、ベルは本題に入る。メモリアも、そのことを気にすることもない。
「かなり古くからの、膨大な記録です。絞り込みをしますか?」
「そうだね…必要なのは、魔女が、巫女になったときの話」
ベルの言葉に、メモリアは何かを思い出すかのように目を閉じて、話し出した。

「昔、この『神殿』は、魔女狩りによって集められた魔女を捕らえておくための場所でした。千四百五十年ほど前、神殿に集められた魔女の一人が魔物の襲撃を予知し、それを知らせに街へと降りたのです。しかし街の人々は、石をもって彼女を追い返しました。それでも彼女は他の魔女たちに協力を求め、魔物から街の人々を救ったのです。
その一件で、人々は魔女たちに感謝し、また魔女たちはその後も街に尽くしたので、いつか彼女たちを魔女とは呼ばなくなり、代わりに、巫女と呼ぶようになったのです」
「…ボクの引き継いだ記憶の通りだよ、メモリア」
話を聞いている間に組んでいた腕をほどいて、ベルがそう告げた。メモリアが目を開く。
「その話を、いつか、ボクのマスターに、キトに、してあげて。彼が、メモリア、あなたに会えるだけの身分を得たら」
メモリアが首をかしげる。色々訊きたいのに、何から訊けばいいのか分からない、という顔だった。
「キトは、ボクがその話をしたって、信じないよ」
「では、そのキトという方は、私に会うだけの身分が得られるのですか?」
「さあ、分からない。けれど、メモリア。このペティ・ベルを呼び出したマスターが、高い身分を得られないはず、ないだろう?」
「そうでしたね」
そもそもベルを呼び出せるということ自体が、力の強い証なのだ。そしてベルは、隠れている力を引き出すのが、うまい。
「けれど何故、今なのです」
「ちょうど良い機会だから。あのね。ボクは、キトの恋をかなえたいんだ。でも、キトがあなたに会うだけの身分を得た時に、隣にボクはいないかもしれない」
「予言、ですか?」
「ボクは予言はできないよ。知ってるよね?」
「ならどうして」
そんな悲しいことを、と言い募ろうとして、メモリアはやめた。知り合いの精霊が世界に還るたびにベルが見せる悲しい笑みを、メモリアは覚えている。
ベルは古い精霊だ。他の精霊が世界に還り、置いていかれる事に疲れることもあるのだろう。
「ベル、大丈夫ですよ」
思わず口をついて出た言葉に、メモリアは自分で驚いた。なぜか、そう言わずにはいられなかった。
ベルはきょとん、とメモリアを見る。「何が?」と止めのように訊かれることはなかったが、何となく恥ずかしくなって、こほん、と咳払いをして、やや強引に話を変えた。
「ところで、ベル。その階段ですが…」
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