日々だらだらと書き綴る日記です。
ブログ内検索
カレンダー
11 | 2024/12 | 01 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |
15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 |
22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 |
29 | 30 | 31 |
方言変換
ブログペット
手書きブログ
最新コメント
最新トラックバック
プロフィール
HN:
可李乃あさみ
年齢:
40
性別:
女性
誕生日:
1984/02/23
アクセス解析
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「どこまで上るの」「なんて長いの」
ややうんざりしたように、クチハとクレハが呟く。延々と続く階段。追いかけている相手の意図も目的地も分からず、ただ労力だけが消費されるこの状況は、あまり根気の無い二人には拷問のように感じられた。
ややうんざりしたように、クチハとクレハが呟く。延々と続く階段。追いかけている相手の意図も目的地も分からず、ただ労力だけが消費されるこの状況は、あまり根気の無い二人には拷問のように感じられた。
「あら、クレハ」「なあに、クチハ」
「もう最上階よ」「あら、ホントね」
「あと少しね」「階段はね」
「「まったく、どこまで行ったのかしら」」
はあ、と呆れと疲れが半々のため息をこぼして、二人は階段に終着点を見ようと上を向く。階段の終着点から少し外れたところに、碧の頭が見えた。誰かと話しているのだろうか、階段から続く、落下防止のために備え付けられた手すりにもたれかかって、首を傾げ、天井を仰ぐ。さらりと手すりの外に落ちた髪の色は頭と同じ碧。
見えている頭の色は、帽子などでは無く髪の色だとそれで気付く。
そしてその髪の色は、今まさにクチハとクレハが追いかけている精霊の髪の色なのだった。
「あーっ」「いたーっ」
二人の上げた叫び声に反応して、はじかれたように振り向いた、少女の緑がかった黒い瞳と目があった。
もう間違いなかった。探していた精霊の、ベルだ
「クチハ、クレハ」
二人の名前を呼ぶ声は、記憶にある少女らしいものではなく、幾分か低い、少年のもののようだったが、呼ばれた途端に懐かしいような感覚が心の中に広がった。
同時に、前を歩いていた足音が、泡がはじけるような音を残して、消えた。役目を果たして不要になった魔法は世界に溶ける。
早足で、クチハとクレハは階段を上る。ベルは、しばらくきょとん、として、訝しげに眉を寄せた。それからクチハとクレハのほうに背を向けた。
「―――――るの?―――て、―――ら―――と軽いと思うよ」
「――――い。―――――す。―――――たちは―――ですか?」
途切れ途切れにベルと、もうひとつ、誰かの声が聞こえた。しかし、ベルが口を動かしているのは見えるが、話している相手の姿は見えない。
「いや―――。どうして―――――――――か。――――――――――無いんだね」
「はい、ですから、訊いて下さい。私は――――――てはいけません」
「うん。クチハ、クレハ」
こっくりとベルが頷いて、それから二人の方を振り返った。
「「なあに、ベル」」
「今のマスターは、何人目?」
階段を上る二人を目で追いながら、訊く。何故そんなことを、と思ったが、口にしなかった。二人が、階段を上りきる。ベルは体ごと二人に向き合って真っ直ぐに見上げる。
ベルにまっすぐに見られると、どうにも嘘のつきにくい気分になった。
「何人目、だったかしら」「六人目、よ」
「だってさ」
ベルが振り返って誰かに言う。しかし、同じ高さにいるはずなのに、その誰かの姿は、未だに見えない。
「では、あなたがたには資格があります。私―――メモル=メモリアという名のこの『神殿』世界の歴史書の存在を知り、閲覧する資格が」
ベルの影から、小さな精霊が姿を現す。そして、二人の目の高さまで来ると、二人に向かって頭を下げた。
「もう最上階よ」「あら、ホントね」
「あと少しね」「階段はね」
「「まったく、どこまで行ったのかしら」」
はあ、と呆れと疲れが半々のため息をこぼして、二人は階段に終着点を見ようと上を向く。階段の終着点から少し外れたところに、碧の頭が見えた。誰かと話しているのだろうか、階段から続く、落下防止のために備え付けられた手すりにもたれかかって、首を傾げ、天井を仰ぐ。さらりと手すりの外に落ちた髪の色は頭と同じ碧。
見えている頭の色は、帽子などでは無く髪の色だとそれで気付く。
そしてその髪の色は、今まさにクチハとクレハが追いかけている精霊の髪の色なのだった。
「あーっ」「いたーっ」
二人の上げた叫び声に反応して、はじかれたように振り向いた、少女の緑がかった黒い瞳と目があった。
もう間違いなかった。探していた精霊の、ベルだ
「クチハ、クレハ」
二人の名前を呼ぶ声は、記憶にある少女らしいものではなく、幾分か低い、少年のもののようだったが、呼ばれた途端に懐かしいような感覚が心の中に広がった。
同時に、前を歩いていた足音が、泡がはじけるような音を残して、消えた。役目を果たして不要になった魔法は世界に溶ける。
早足で、クチハとクレハは階段を上る。ベルは、しばらくきょとん、として、訝しげに眉を寄せた。それからクチハとクレハのほうに背を向けた。
「―――――るの?―――て、―――ら―――と軽いと思うよ」
「――――い。―――――す。―――――たちは―――ですか?」
途切れ途切れにベルと、もうひとつ、誰かの声が聞こえた。しかし、ベルが口を動かしているのは見えるが、話している相手の姿は見えない。
「いや―――。どうして―――――――――か。――――――――――無いんだね」
「はい、ですから、訊いて下さい。私は――――――てはいけません」
「うん。クチハ、クレハ」
こっくりとベルが頷いて、それから二人の方を振り返った。
「「なあに、ベル」」
「今のマスターは、何人目?」
階段を上る二人を目で追いながら、訊く。何故そんなことを、と思ったが、口にしなかった。二人が、階段を上りきる。ベルは体ごと二人に向き合って真っ直ぐに見上げる。
ベルにまっすぐに見られると、どうにも嘘のつきにくい気分になった。
「何人目、だったかしら」「六人目、よ」
「だってさ」
ベルが振り返って誰かに言う。しかし、同じ高さにいるはずなのに、その誰かの姿は、未だに見えない。
「では、あなたがたには資格があります。私―――メモル=メモリアという名のこの『神殿』世界の歴史書の存在を知り、閲覧する資格が」
ベルの影から、小さな精霊が姿を現す。そして、二人の目の高さまで来ると、二人に向かって頭を下げた。
PR
この記事にコメントする