日々だらだらと書き綴る日記です。
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プロフィール
HN:
可李乃あさみ
年齢:
40
性別:
女性
誕生日:
1984/02/23
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ぎし、と、ひときわ大きな音を響かせて、ベルが階段を上りきる。
図書館の四階。最上階。
さすがに少し疲れた。はあ、と大きく息を吐いて、辺りを見回す。
いない、と思ったそのとき。
図書館の四階。最上階。
さすがに少し疲れた。はあ、と大きく息を吐いて、辺りを見回す。
いない、と思ったそのとき。
「階段を軋ませていたのは、あなた?」
真上から声がした。上を向く、が誰もいない。
「こっちですよ」
今度は後ろ。振り向く。やはり誰もいない。
くすくすと笑う声が、今度は右肩のあたりから聞こえた。そのまま背後に回り、上へと遠ざかる。声を追って、首と体を動かしていたベルは、そのままひっくり返りそうになった。
このままでは、落ちる。そう気付いて慌てて階段の手すりをつかんだ。
「残念―――落ちませんでしたね」
そういって、目の前に現れたのは、ベルの顔ほどしか身長の無い、小さな精霊だった。
眼鏡をかけて、本の入ったバックを斜めにかけて、薄い色の、見ようによっては金にも見える髪を両サイドの前後で括り、途中で、2本ずつ1つにまとめてツインテールにしている。彼女の体を中空にとどめているのは背中に生えた蝶に似た羽。
「メモル=メモリア」
抗議めいたニュアンスを込め、ベルが叫ぶようにその役割を呼んだ。
メモリアが、人差し指を立て、自分の唇にもっていく。はっとしたように、ベルはあわてて自分の口を塞いだ。
「そういうあなたは、ペティ・ベルですね。先代の記録とは、声が違うようですけど?」
「前のマスターに変えられたんだよ。ああ、そうか。前のマスターは、短かったんだっけ。メモリアに、会う暇も無いくらい。…メモリア、代替わりがあったのは、いつ?ボク、あなたと会ったこと、無いよね。」
メモリアが、目を見開いて、それから赤面する。
「ああ、いけない。私は記録と記憶の区別をつけるのが、まだ下手なのです。そう、ペティ・ベルとは初対面なのでしたね。手順を踏むのを忘れていました。私は、第三十七代記録者、セリア=メモリア。代替わりは、半年ほど前に。そして、先代が世界に還ったのは、三月ほど前です」
「そっか、3ヶ月前、か」
目を伏せて、ベルが呟いた。それは、先代のメモリアがいなくなったことを悲しんでいるように見えて、セリアは、聞かずにはいられなかった。
「先代とは、親しかったのですか?」
「どうかな、よく会いはしたけれど、親しかったのかと言われると―――」
手すりにもたれかかって考え込むようにベルは首を傾げ、それから天井を仰ぐ。さらりと、手すりの外に髪が流れた。
「そうだね、きっと―――」
「あーっ、いたーっ」
不意に、階下から叫び声が聞こえた。きっと親しかったんだよ、というベルの言葉は、その叫び声に打ち消されてしまった。
真上から声がした。上を向く、が誰もいない。
「こっちですよ」
今度は後ろ。振り向く。やはり誰もいない。
くすくすと笑う声が、今度は右肩のあたりから聞こえた。そのまま背後に回り、上へと遠ざかる。声を追って、首と体を動かしていたベルは、そのままひっくり返りそうになった。
このままでは、落ちる。そう気付いて慌てて階段の手すりをつかんだ。
「残念―――落ちませんでしたね」
そういって、目の前に現れたのは、ベルの顔ほどしか身長の無い、小さな精霊だった。
眼鏡をかけて、本の入ったバックを斜めにかけて、薄い色の、見ようによっては金にも見える髪を両サイドの前後で括り、途中で、2本ずつ1つにまとめてツインテールにしている。彼女の体を中空にとどめているのは背中に生えた蝶に似た羽。
「メモル=メモリア」
抗議めいたニュアンスを込め、ベルが叫ぶようにその役割を呼んだ。
メモリアが、人差し指を立て、自分の唇にもっていく。はっとしたように、ベルはあわてて自分の口を塞いだ。
「そういうあなたは、ペティ・ベルですね。先代の記録とは、声が違うようですけど?」
「前のマスターに変えられたんだよ。ああ、そうか。前のマスターは、短かったんだっけ。メモリアに、会う暇も無いくらい。…メモリア、代替わりがあったのは、いつ?ボク、あなたと会ったこと、無いよね。」
メモリアが、目を見開いて、それから赤面する。
「ああ、いけない。私は記録と記憶の区別をつけるのが、まだ下手なのです。そう、ペティ・ベルとは初対面なのでしたね。手順を踏むのを忘れていました。私は、第三十七代記録者、セリア=メモリア。代替わりは、半年ほど前に。そして、先代が世界に還ったのは、三月ほど前です」
「そっか、3ヶ月前、か」
目を伏せて、ベルが呟いた。それは、先代のメモリアがいなくなったことを悲しんでいるように見えて、セリアは、聞かずにはいられなかった。
「先代とは、親しかったのですか?」
「どうかな、よく会いはしたけれど、親しかったのかと言われると―――」
手すりにもたれかかって考え込むようにベルは首を傾げ、それから天井を仰ぐ。さらりと、手すりの外に髪が流れた。
「そうだね、きっと―――」
「あーっ、いたーっ」
不意に、階下から叫び声が聞こえた。きっと親しかったんだよ、というベルの言葉は、その叫び声に打ち消されてしまった。
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