忍者ブログ
日々だらだらと書き綴る日記です。
ブログ内検索
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
方言変換
ブログペット
手書きブログ
最新コメント
最新トラックバック
プロフィール
HN:
可李乃あさみ
年齢:
40
性別:
女性
誕生日:
1984/02/23
バーコード
アクセス解析
[96]  [120]  [119]  [95]  [94]  [93]  [92]  [118]  [117]  [91]  [116
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

(あ、クチハとクレハ)
覚えのある気配を感じて、そちらに目を向ければ、騎士の格好をした青年が二人の少女に囲まれていた。騎士の宿舎に向かっているように見える。

青年の方に見覚えはないが、少女たちの方は見覚えがある。というか、ずいぶんと懐かしい顔だ。ざっと三百年ぶりぐらいに見るだろうか。いつの間に呼び出されていたのだろう。
ベルも、クチハとクレハも使いとしては特殊な精霊だ。ベルはその古さと強さゆえ、クチハとクレハは双子ゆえに、魂のかたちの重なる人間というのが、なかなかいないのである。魂のかたちの重なる人間がいなければ、使いは呼び出されない。そうして、呼び出される期間が重ならないまま気がつけば三百年近く。
(まだ、いたのか)
あまりに見かけないものだから、もう消えてしまったものと思っていた。きっと、お互いに。
軽く失礼なことを考えて、そこから視線をそらす。
今挨拶に行かなくとも、そのうち会うだろう。むしろ、向こうから押しかけてくるだろう。青年にじゃれるのに夢中なのか、こちらを見ようともしないが、きっと二人はベルの気配に気付いている。あれは、そういう二人だ。
だから、優先したいことを先にして、今は放っておく事にした。勢いが大事なこともある。主に、苦手なことをすると決めたとき。
が、すぐに、ベルは思いとどまる。
あの二人はメモル=メモリアのことを知っているのだろうか?
もう一度、ベルはクチハとクレハのほうを見た。二人が楽しそうなのが見て取れて、ベルは声をかけるのをやめた。一緒にいるのが二人のマスターだと見たときから分かっていた。マスターとの時間を邪魔してはいけない。それは、多分とても大切なものなのだ。
ベル自身は、そう分かっていても、あまりキトとの時間を大切にできていない。それでもベルもキトといるときは、多分、今のあの二人のような表情をしているのだ。
そんなことを考えながら、三人が歩いていくのを何となく見送って、ベルは、また図書館へと足を向けた。
歩いているうちに足元が石畳になり、こつこつと靴音がなる。
横一列に並ぶ大理石の柱を通り抜ければ、そこは神殿の中心宮だ。
中心宮は、「神殿」の敷地のほぼ中央にある。執務や儀式のほとんどもそこで行われるから、位置的にも役割的にもその名の通り中心になる建物なのである。
そして、中心宮に着けば、図書館はすぐだ。中心宮より少し向こうに小さな白い四角の建物が見える。そのひとつ奥にある、同じような、でも少し大きめの建物が図書館だ。中心宮と、周りの建物は地下でもつながっていて、他の建物と中心宮をつなぐ石畳の上を歩くと靴音が反響して辺りに小さく響いた。
そして、図書館の前で足を止める。さほど歩いたわけでも、着くまでに時間がかかったわけでもないのに、なぜか、ようやく着いた、という気がした。
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
忍者ブログ [PR]