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日々だらだらと書き綴る日記です。
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可李乃あさみ
年齢:
40
性別:
女性
誕生日:
1984/02/23
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階段を下りて行くクチハとクレハを見送って、ベルは、メモリアのほうに向き直る。
「メモリア、語って。巫女…否、魔女の話」
余計な前置きはせず、ベルは本題に入る。メモリアも、そのことを気にすることもない。
「かなり古くからの、膨大な記録です。絞り込みをしますか?」
「そうだね…必要なのは、魔女が、巫女になったときの話」
ベルの言葉に、メモリアは何かを思い出すかのように目を閉じて、話し出した。
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ぱたぱたと、メモリアが三人の間を飛ぶ。何か変な感じがする。
それぞれが本題に入らないまま、話が違う方向へとどんどん進んでいるような。
「ベル、そういえば、あなたは来たとき一人でしたね。何か、用があったのでは?」
「…そう」
どこか気もそぞろにベルがメモリアの言葉を肯定する。
「そうだ、忘れてた、ボクは、メモリア、あなたに用があったんだ」
でも、と呟いて、クチハとクレハのほうを見た。
「その前に、クチハ、クレハ、あなたたちの用を済ませようか。ここまで追いかけてきたんだから、何か、ボクに用があるんだよね」
「で、メモリア、さっきの話だけど」
ベルが、それまでのやり取りを無視して、顔を上げたメモリアに話しかける。
「どこまで上るの」「なんて長いの」
ややうんざりしたように、クチハとクレハが呟く。延々と続く階段。追いかけている相手の意図も目的地も分からず、ただ労力だけが消費されるこの状況は、あまり根気の無い二人には拷問のように感じられた。
ぎし、と、ひときわ大きな音を響かせて、ベルが階段を上りきる。
図書館の四階。最上階。
さすがに少し疲れた。はあ、と大きく息を吐いて、辺りを見回す。
いない、と思ったそのとき。
足音を追いかけて、クチハとクレハがたどり着いたのは図書館の前だった。
思わず、二人は顔を見合わせる。今追いかけている精霊に、一番ふさわしくない場所だと思った。普通に探すのならば、真っ先に探す場所から外すような場所なのだ。
図書館に入って扉を閉めると、意外に大きな音が響いて、ベルは首をすくめた。
図書館というのは、静かなのにざわめいていて、いつ来てもベルを不思議な気分にさせる。人がどれだけ集まっても静かで、しかしそれぞれがてんでばらばらなことをしているために生まれるざわめきを、ベルは居心地悪く感じる。そのざわめきは、人のさざめきだ。図書館は、それがよく聞こえる場所なのだ。
耳を澄ませるように、ベルは目を閉じる。
風が吹いて、黒と金の髪が空に流れる。
クチハとクレハは小さな丘の上にいた。そこは、神殿の中でも一段高い場所で、ベルが先ほどまで歌を口ずさんでいた場所であり、また、神殿のふもとの町を一望できる場所でもある。
(あ、クチハとクレハ)
覚えのある気配を感じて、そちらに目を向ければ、騎士の格好をした青年が二人の少女に囲まれていた。騎士の宿舎に向かっているように見える。
そう理解するとトツキは大きく安堵の息を吐いて床にへたり込んだ。
「安心しました?」「疲れました?」
「両方、だな」そう思うと同時に口に出していた。
疲労で体が重い、しかし、使いを下せたことで安心したせいか、力が入らない。そういえば、ここ一月きちんと眠れていなかったと思いだす。
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